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名機列伝〜第1章〜 大都技研『吉宗』
時には鬼の大徴収、時には夢の大盤振舞を施す伝説の大将軍
 古きものが新しいものに淘汰されるのは自然の摂理である。このパチンコ・パチスロ業界においても1930年ごろにパチンコが誕生して以来、毎年多くのパチンコ・パチスロ機が世に送り出されては消えていっている。ファンの記憶の片隅に残ればまだマシで、多くの機種は存在した少しの記録が残っているばかり…。だが、その消えていく数多の機種の中でごく一握り、特別な機種が存在する。人々の記憶の中でいつまでも色褪せることなく生き続ける機種、後世の機種に多大な影響…遺伝子を遺した機種、パチンコ・パチスロ業界を越えて社会現象を巻き起こした機種、そして時には打ち手の人生を変えてしまうほどの魔力を持った機種…そんな「名機」たちがパチンコ・パチスロ界の流れを作ってきたのだ。本企画は、そんなパチンコ・パチスロの名機たちの伝説を記録したものである。
あなたならどちらを打ちますか?
 突然ですが、皆様
 パチスロは好きですか?
 今日もストップボタンを押していますか?
 数年前までならパチスロ三昧で「もちろん!」と答えていたであろう私・パチンコビスタ編集部員・じろですが、現在はというと…答えは「NO!」。今は「城門突破ぁぁー」「危機回避ィぃー」と、PUSHボタンを連打する毎日。そう、押すボタンがMAX BETボタンとSTOPボタンからPUSHボタンと玉貸しボタンにすっかり変わった次第です。その理由は簡単、パチスロよりパチンコの方が断然面白いから。パチンコの設置台数が増え、パチスロの設置台数が減っている現状が、そう思っているのが自分だけではないことを物語っていると言えるでしょう。

 でも、今のパチンコと「あの頃」のパチスロを比べたらどうだろう? もし、あの頃の台がホールに設置されていたら…。少なくとも名機と呼ばれた台たちは今のパチンコにも引けを取らない魅力があったはず。もし、まだ『パチスロ「北斗の拳」』があったら、『獣王』があったら、『コンチ3』があったら、はたまた出玉性能の面では劣るものの『クランキーコンドル』や『スーパーバニーガール』があったら…挙げていったらキリがないからこの辺にしておくが、そう考えると本気で悩んでしまう名機がたくさんあった。名機列伝の第1回目となる今回はその中から「711枚のBIGが1G連」という現在では考えられない爆発力を持った大都技研の『吉宗』の伝説を紐解いていきましょう。
711枚・1G連…5号機には決して真似できない機能が満載!
 当時、打ち込んだ諸兄には無粋かもしれないが、まずはおさらいを兼ねて簡単にゲーム性を説明しよう(詳しいゲーム性はこちら、演出についてはこちらをご覧ください)。

 本機はいわゆる大量獲得機で、JACインの権利を持ち越せるシフト持ち越し機能を搭載しており、1回のBIGでほぼ711枚獲得できた。ちなみに5号機式の表記にすると、「BIG揃い時の15枚に加え、810枚の払い出し」。5号機の最大払い出し枚数465枚と比較するといかに強力だったかがおわかりだろう。更に、BIG中はほぼ毎ゲーム15枚が揃うので、増加スピードも比ではないことも付記しておこう。

 そして、その大量獲得BIGの破壊力を倍増させるのが、もう1つの売りである「1G連」である。そう、当時はボーナスのストックが認められており、本機もBIG中の7揃いやパンク、JACハズレ等の特殊条件を満たすとBIGの1G連が発生したのだ。等価交換のお店なら1回のBIGで約1万4000円、1G連をしようものならわずか10分足らずで3万円分近いコインが獲得できるのである。1度に3回分の1G連権利獲得となる純ハズレなどもあり、1ゲーム連の条件を複数回満たせば5連までは上乗せされたため、瞬く間に数千枚のコインを叩き出すことも決して珍しいことではなかった。

 また、1G連以外にも、RTによる連チャンも十分に期待できた。本機はモード&RTゲーム数振り分け仕様となっており、「天国モード」に入れば193ゲーム以内でのボーナス放出が確定となるのだ。そのため、低設定でも1G連を連発したり、ゲーム数の振り分けに恵まれたりすれば一撃で数千枚、調子が良ければ1万枚はおろか、2万枚オーバーも十分可能という、打ち手に夢のある機種だったのだ。
名機『吉宗』がホールに降り立った日
 吉宗がホールデビューを果たしたのは2003年6月。いわゆる爆裂AT機全盛の時代だった。前述したようにAT機にも負けない爆発力を秘めていた本機だが、最初から大人気という訳にはいかなかった。初めて打った人の多くの感想が

 「こんな怖い機種打てるかっ!」
 である。

 それもそのはず。ツボにはまれば確かに凄いが、その反面1900ゲーム以上のハマリ…つまり、財布の中に5万円を入れていても大当たりを引ける保障がなく、時間にして約3時間大当たりなしという事態もザラに起こるのだ。自分自身が味わわなくても、隣で現金投資を延々と続けている人を見れば怖くなって当然だと言えよう。吉宗の前身機と言える『シェイク』も711枚のBIGと1G連というシステムで話題を呼んだが、やはり評価は大きく分かれて設置台数は伸び悩んだ。「やはり大量獲得タイプのストック機は一般受けしないのか…」そんな疑念も持たれ始めていた。

 しかし、そんな心配は無用だった。「2度と打つか!」と思った人もホールにて連日目撃する積み重なるドル箱の山に刺激され、そして一度体験するとやみつきになる1G連チャンで確実に虜となっていったのだ。じわじわとファンを増やし、設置台数や設置店舗を右肩上がりに伸ばしていくことになる。
知れば知るほどハマる完成されたゲーム性
 とは言え、打ち手も、また設定を入れるホール側も内部の仕様がわからず、まだ吉宗の扱いは手探り状態だった。「出る時は低設定でも出てしまう」「出ない時は高設定でも出ない」…双方にとって「怖い台」だったと言える。

 そこに1つの転機となる出来事が起こる。それがロムからプログラムを読み取り内部確率や仕組み等を解読するいわゆる「解析」だ。これが行なわれると、興が削がれたり、仕組みが勝てるものではないと判明したりし、途端に稼働が落ちる機種も珍しくない。

 だが、吉宗は解析が出回り始めると、逆に人気に拍車を掛けることになった。というのも内部確率や仕様から、ゾーンやハマリ台狙い、あるいはリセット狙いなど低設定でも期待収支がプラスになる有効な立ち回りが紹介され、「勝てる機種」という意識を与えることに成功したのだ。また、シミュレーションによって算出された機械割も設定3からなら理論上プラス、設定1・2でも、十分勝負になるということが明らかになったことや、シェイクではRTの振り分け率が0というゾーンがあったが、吉宗にはわずかながらもどのゲームでもチャンスがあることが明らかになったことも好感を与えたように思われる。

 いずれにせよ、「いつ打って」「いつヤメればよい」この2点が明確になったことで安心感を与え、ライトユーザーも手を出しやすくなり、稼働が爆発的に上がることに繋がった。引いては、それが後に「北斗・吉宗時代」とも呼ばれ、一世を風靡するまでに至るほど設置台数を伸ばすことに繋がったのだ。

 しかし、何度見ても、このシステムの出来には感嘆せざるを得ない。BIG1回のコインをそのまま打ち込むと402〜565ゲームまでのチャンスゾーンに片足を踏み込みヤメられなくなる。そして、もし565ゲームを超えると、今度は設定2以上なら期待収支がプラスになり、当たるまで回すのがセオリーとなる。開発者がどこまで計算したかは定かではないが、稼働を維持させる実に見事な仕組みになっているのだ。
音楽界までもが注目した吉宗の「音」
 さて、吉宗を語るにおいて、「音」について触れない訳にはいかないだろう。まず、触れなければならないのは、爺BIGの1G連告知音「キーーーン音」だ。この高らかに鳴り響く告知音は、心臓に悪いと言われるほどのインパクトがあった。1G連確定というのもあり、鳴った瞬間に驚き・歓喜・戸惑いといった様々な感情が湧いて思考が一瞬停止するのに対し、体だけはビクっと反応する。この感覚は味わった人間にしかわからないだろう。この音に驚きたくて打っていたという人も少なくなかった。現在のパチンコ・パチスロ界では「キュイン音」が主流であるが、それ以上の衝撃を与える音であったと書けば耳にしたことのない方にも少しは伝わるだろうか。

 その他にも、少し間の抜けたスタート音や連続演出中の音、さらに高確率演出中も期待感を煽る軽快なBGMに、思わず「大家紋出ろ」と願わずにはいられない家紋アタック演出の予告音、発生すると誰もが注目する鷹狩り演出の鳴き声など、語りたい音は多々あるが、文字数の関係上割愛させていただく。どの音にも言えることだが、「吉宗」という世界観に反せず見事にマッチしており、これらの音が根強い人気を支えた一つの要因だったように思える。

 そして、何と言っても欠かせないのはパチスロ業界の域を超えて大ヒットをした姫BIG中のBGM「そこにあるかも知れない…」だろう。当時流行していたユーロビート調の曲で、声や歌い方が某人気歌手に似ていたため、大きな話題を呼んだあの曲だ。歌手名は「尼崎まゆ美」「浜崎あゆ似」など諸説あったが、現在でも非公表で真相は謎のままである。
 なお、この曲はただ似ていたからヒットした訳ではない。もし、そうなら話題になっただけで終わったはず。そう、支持されたのは曲自体が良いからだ。その証拠に、この曲を収録したホール用景品「吉宗サウンドトラックCD」は瞬く間に完売し、販売用に作成されたCDも30万枚を超えた。そればかりか、当曲はトランス系のオムニバスCDにも収録されるなど、パチスロ業界の域を超えて1つの「楽曲」として評価を受けている。更にはカラオケにも収録され、吉宗ファンばかりか、パチスロを知らない人も口ずさむようになったのだ。他にも着メロでのダウンロード数も上位を記録するなど、音楽業界の主要部門で目を見張る活躍を見せたのだ。現在、ボーナス中の音楽にこだわるメーカーが多いのも、この曲が大ヒットした影響が大きい。そう、パチスロ界・音楽界双方に多大な影響を与えた曲なのだ。
パチスロ界を飛び出して社会に発信されるほど魅力的なキャラクターと演出
 もちろん、吉宗というパチスロ機がヒットしたのは「吉宗」というキャラクターがあったからなのは言うまでもない。徳川家八代将軍をモチーフにしたであろうオリジナルキャラ・吉宗を始め、爺や婆、姫など3頭身の愛らしいキャラクターたちが繰り広げるコミカルな演出は、悪く言う人を知らないほど、老若男女を問わず好評を博した。演出自体は3人の男が姫をさらって逃げる、主人公が剣で斬りまくるというPTAが問題視しそうなシーンもあったが、生臭さをほとんど感じさせない仕上がりになっていた。もしかすると、この何でも許せてしまう雰囲気を作り出すタッチがあったからこそ、凶暴とも言えるスペックが人々に受け入れられたのかもしれない。

 なお、キャラクターは吉宗・爺・姫の主要3人だけが愛されていたのではない。脇役や敵キャラたちも負けず劣らずの人気を得ていた。吉宗は再販を繰り返す度に新パネルが発表されたが、吉宗パネル→姫パネルの次に、爺よりも先に越後屋パネルが登場し受け入れられたことからもわかるだろう。キャラの人気は過熱する一方で、グッズが発売されれば即完売となり、ネットオークションで高値がつくという場面もよく見かけられた。

 そして、その勢いを象徴したのが、アニメ化だろう。アニメがパチスロ化することは多々あるが、なんとパチスロのオリジナルキャラからアニメが作成されるという快挙を達成したのだ。地方局の深夜帯ということもありパチスロ機ほど人気は出なかったものの、2クールに渡って24話が放映された。

 また、液晶だけではなく、業界初の「障子シャッター」も演出に花を添えた。液晶画面と連動しての演出は、業界全体に新たな可能性を示し、現在のパチンコの必須アイテムとなっている役モノに少なからず影響を与えていると筆者は考えている。


メインパネルからラブリーパネルまで全6パネルが存在!
<吉宗パネル>
<姫パネル>
<越後屋パネル>
<爺パネル>
<ラブリーパネル>
そして伝説へ…
 このように、爆発力、ゲーム性、音、キャラクターと、全ての面において完成度が高く、多くのファンから支持を得ることになった。おそらく、そのファンに「どこが一番好きだった?」と問いかければ、多様な意見が聞けるに違いない。名機と呼ばれる台は、時に意図しない偶然や奇跡によって生まれることがあるが、本機に関してはその要素はほとんどない。凋落が激しいパチスロ界において根強い人気を誇り、ホールの看板機種として活躍し、増産に増産を重ね、最終的に6パネル25万台という当時2位の記録を打ち立てたのは、開発者の妥協を許さない強い信念と緻密な計算によって生まれたと言っていいだろう。

 吉宗の大ヒットを受けてホールには同タイプの機種が続々と登場するが、その地位は全く揺るがなかった。確かに同タイプで人気を博した機種もあったが、それは吉宗のヒットがあったからこそ。大量獲得タイプのST機というジャンルの打ち手を育てたからと言っても過言ではないだろう。

 ただし晩年の稼働は、全盛期に比べて著しく低下した。設置台数がやや供給過多というのもあったかもしれないが、最大の要因は打ち手が猜疑心を抱いたことだろう。序盤にも触れたが、吉宗は「怖い機種」であった。低設定でも出る時は勝手に出てしまうため、ホールは高設定を入れない、そういったイメージが最後まで拭えず、開店からRTリセット狙いで193ゲームだけ回されただけでそのまま長時間放置される状況がよく見かけられた。そして、稼働が落ちるほど、余計に猜疑心が強くなって稼働を低下させるという悪循環を生んだのだ。

 また、一部のホールが行なっていた「ストック飛ばし」の影響も大きい。1G連の権利を獲得しながら、ボーナス終了後にランプが消えたり、REGが放出されたりといった怪現象が起こったことが巷で噂になり、それが一層吉宗から足を遠ざける要因になった。ストック飛ばしを行なっていたのは一部のホールだが、ストックを消したかどうかを見破るのはほぼ不可能で、少し大ハマリしようものなら、「もしかするとストックがないのでは…?」という不信感を招いたのだ。

 誤解がないように付記しておくと、それでも吉宗自体の人気が落ちた訳でも飽きられた訳でもなかった。好きな機種のアンケートがあれば必ず上位に来るほど高い人気があったし、イベント時や信用のあるホールでは依然高稼働を維持していた。打ちたいけど、怖くて打てない機種になってしまっただけなのだ。

 そのような状況が続いているうちに、業界を揺るがす大変革が起こった。そう、2006年6月から実施されるみなし機強制撤去問題だ。検定期限日が切れる翌月に撤去しなければならなくなったのだ。射幸性の強い爆裂AT機が発端になった問題の煽りを受けた格好だったが完全な被害者とは言えない。なぜなら吉宗にもその責任がなかったとは否定できないからだ。言うまでもなく、吉宗にはそれらの機種に劣らない爆発力があり、現に4.5号機から4.7号機に内規を変更しなければならなくなったことには大きく関与していた。

 だが、誤解しないでほしい。吉宗は、間違いなく正規の検定を通過した合法機であった。厳しい内規の中で開発者が創意工夫をして苦心の末に誕生したのが吉宗である。何の落ち度も無い。もし、吉宗に罪があるとするなら、それは魅力的過ぎたことだろう。

 現に、パチスロファンやホール店長で吉宗の撤去を歓迎するものなどいなかった。それどころか吉宗との別れを惜しみ、その日が近づくにつれて稼働は回復していき、最終日には立ち見が出るホールもあったという。しかし、どんなに支持されようと運命には抗えない。2006年7月、吉宗は伝説の機種となった。

 最後に、吉宗に多大な影響を与えた隠れた名機をご紹介しておこう。その機種とは、2002年9月に大都技研から登場した『シェイク』。BIG中はシフトの持ち越し機能でほぼ毎回711枚獲得で、BIG中の7揃いやJACハズレ、パンクなどが発生すれば1G連という過激なゲーム性で話題を呼んだ機種だ。ただし、RTテーブルは1種類のみのためゲーム性はやや単調で、最大RTが2500ゲームという面で敬遠され、大ヒットには至らなかった。このシェイクのシステムを踏襲・進化させて生まれたのが吉宗で、もしこの機種が生まれていなければその後の吉宗の大ヒットおよび大量獲得タイプST機ブームもなかっただろう。また、ゲーム性だけではなく、高確率演出やBIG中のBGM選択などもあり、演出面でも吉宗に大きな影響を与えているのがおわかりだろう。

 このシェイクの遺伝子は吉宗で開花し、以後『押忍!番長』や『秘宝伝』、『真・吉宗』『爺サマー』『忍魂』…へと、姿かたちを変え、発展・進化して引き継がれていっている。吉宗登場以前は大ヒットと言える機種がなく、まだ数あるメーカーの1社に過ぎなかった大都技研がトップメーカーの仲間入りを果たしたのは、この名機の遺伝子の力と言っても過言ではないだろう。
<シェイク>
吉宗の前身機とも言える機種。自身は大ヒットには至らなかったものの、吉宗や以降の機種に与えた影響は計り知れない
<押忍!番長>
吉宗を超える大ヒットを記録した名機。A-400タイプとなったものの、ボーナス中の1ゲーム連やシャッター役モノ、高確演出など多くの要素をシェイク・吉宗から引き継いでいる
パチスロ界の殿堂「DENDO」にて伝説の名機と再戦!
 吉宗の伝説集はいかがだったでしょうか? 正直に言えば、まだまだ語りたい伝説はいっぱいあるんですが、いくら書いても語りつくせないのでこの辺にして、ここからは3年ぶりに実現した再戦の模様をお伝えしていきましょう。


 吉宗を尋ねてやって来たのは上野駅・不忍口から徒歩1分にある、都内初のパチスロ専門ゲームセンター「DENDO」さん。1.5号機から4号機まで、その名の通りパチスロ界の殿堂入り機種を大量設置している、パチスロファンには堪らないお店。ここならあるはず…と店内を見回してみると、やはり『吉宗』も殿堂入りを果たしていました。

 ちなみに普段は全台設定6での営業とのことですが、今回は無理にお願いして機械割が約100%という設定3に打ち変えていただきました。設定6で勝っても、それは勝ったんじゃなくて、勝たせてもらってるだけですからね、せっかくなのでここは正々堂々と勝負してキーン、キーーン鳴らして、ヒキで勝っちゃおうってな訳です。

 実戦を開始すること、わずか6ゲーム。チェリー付きの姫がズルっと枠下まで落ちてチャンス目が停止し、障子の陰からお酒が出現して飲み比べ演出に発展。チャンス目解除のRTは2or4ゲームなので、爺白目が出ているが1ゲーム目は当然負ける。ここからが勝負。祈るようにBETを叩くと…


 「やるじゃねーか!」

<パチスロ専門ゲームセンター DENDO〜殿堂〜>
昨年3月29日、上野にオープンした都内初のパチスロ専門のゲームセンター。1.5号機から4号機までの名機120台を全台設定6で絶賛営業中。全台に詳しい遊技説明書がついているので、台の仕様を知らなかったり忘れたりしていても安心して楽しむことができるぞ。詳しいお店の場所や設置台はこちらをチェックだ
 と復活。この時点での期待度は60%オーバー。ここは絶対ハズせない。というのも、連続演出失敗後32ゲームはRTゲーム数解除の可能性ゼロ。また、設定3の設定変更後は97ゲームまでがチャンス。そう、ここで失敗すると、リセットモーニングの可能性が激減してしまうという、今後の展開を占う超重要な場面となっちゃったのです。

 ちなみに自分は、元々は「演出なんてただの飾りです」という全キャンセル派だったんですが、吉宗に限ってはガン見派。結果が既に決まっていようが、こんな面白い演出をキャンセルしちゃうなんてもったいない。本日もじっくり眺めて吉宗の勇姿を目に刻んでいくつもり…なので、ここでもしっかり急性アルコール中毒でぶっ倒れる吉宗の姿を拝見させていただきました。

 その後は一応60ゲーム付近で液晶が騒がしくなって83ゲームに高確に入ったもののスルーしてリセットモーニングを否定。設定変更後はモードA確定のため502ゲームまで期待薄なので、この時点で早くも500ゲーム以上のハマリはほぼ確定。気合いでチャンス目4回、チェリー6回、松4回を引くも全てスルーし、待ちに待った502ゲームからのチャンスゾーンも…前兆らしき挙動すら無しといきなりイヤな汗が出る展開に。でも、814ゲームから始まった高確率演出はモードAなので当然ガセだったものの、902ゲームからのチャンスゾーン中に高確演出へ突入という久々のチャンス。これが百人斬り演出に発展し、87%→30%→0%と3ゲーム掛けて雑魚を一掃して剣豪登場。デモ画面等では宿命のライバル的カットを演じている剣豪さんですが、お前なんて佐助やデカ太郎に比べれば、全然敵じゃないっ! 
 爺BIGで鳴らすイメージを描いて、左リールに姫を狙うとスベって将軍停止で痛恨のREG。モードAだけにこれは本当に痛い。ちなみに、自分はREGでの1G連やいきなり天国モードへの移行を期待するほど楽観主義者ではありません。

 だからこそ、REG終了後0ゲームと123ゲームに突入した高確を表情1つ変えず淡々と消化してるのです。
 さて、閑話休題して、ここらで冒頭で挙げた「もしパチスロの名機が今あったら、パチンコとどちらを打つか?」という命題について答えを出させていただきます。今のパチンコにも、昔のパチスロにも様々な機種があり一概には言えないので、ここはあえて個人的な趣味で『CR牙狼』と『吉宗』を比較して考えさせていただきました。まずはスペック面で言うと、これは個人的には互角の評価。確かに前者の方が、まだ当たりやすい気がするし、魔戒突入率も50%、さらに魔戒継続率82%と超強力ですが、吉宗の1回のBIGで711枚というのはやはり大きな魅力に感じます。

 通常時の演出面では、やや牙狼が優位。吉宗の演出もよくできてはいるものの、やはり6年前に発売された機種だけに、昨年発表された牙狼に比べれば液晶の美しさやパターンの豊富さで見劣りする気がします。

 大当たり中の演出に関しても牙狼は完璧と言っていいでしょう。あらゆるポイントで継続の期待ができ、あのドキドキ感と継続した時の達成感は言い表しようがなく、今まで打ってきたパチンコの中では最高の出来と断言できます。

 それでも、大当たり中に関しては吉宗の方が上でしょう。実際に毎ゲーム毎ゲーム自分の操作で連チャンするかしないかの運命が抽選されるというドキドキ感には、今のパチンコのどんな演出をもってしても敵わないと言えるでしょう。その点から、さんざん悩みましたが、最初の問いに「昔の名機」と答えさせていただきます。ま、所詮叶わない夢なんですが…。


 さてさて、なぜ突然こんなことを言い出したかと言えば、それは吉宗様が本領を発揮してくれたから。いわゆる現実逃避と暇つぶしでずーっとこんなことを考えなきゃやってられなかったのです。気がつけば1878ゲーム、何と何と、よりによって一番深いテーブルを選択してくれちゃいました。ここまで実に4時間半、回転数にして2795ゲーム、そして、要したコインはなんと当時なら約9万円相当で、ようやく待望の初BIGです。
 ハッキリ言って5号機なら絶望的な状況。でも、こいつは吉宗、このBIGでキーーンと鳴らせて純ハズレを引いて、あともう1回ダブルライン揃いなんかして5回ほど1G連すりゃまだまだわからな……って、はい、さすがに吉宗でも絶望的な状況です。


 良い思い出ばかり覚えていてスッカリ忘れていたけど、吉宗って確かにこういう酷い機種でしたよ。何度「2度と打つかっ!」って思ったことやら。でも、それは3年という月日がそうさせた訳ではなく、当時もすぐに忘れて2、3日後には打っていた訳なんですが…。

 このBIGを爺BIGで何事も無く消化し、モード移行に全てを賭ける展開に。前回のモードは前兆の出現具合からいってモードB濃厚なので、ここは当然天国モード移行に期待。ちなみに、ちょっと煽り気味に書いてはいるものの、設定3の天国モード期待度は30%と、実はそこまで期待できる確率じゃありません。でも、こうして無理にでもテンション上げていかないと、正直に言ってもう心が折れそうなんですよ。また延々と作業に戻るのはどうかご勘弁。
 …と、打ち出すと、3連続地震演出とすぐに前兆っぽい挙動がスタート。高確率演出突入を願って打っていると、天井から越後屋が落ちてきて追っかけ演出に発展。1ゲーム目から怒顔なので期待しちゃうと、見事に3ゲーム目まで続いて捕縛成功! こちらもBIGで、たった2回のボーナスで約1箱分のコインを獲得。このスピード感はやはり5号機では味わえません。吉宗、最高っ!

 さらに、BETで入った高確から30ゲーム目に飲み比べ演出に発展して見事勝利でBIG。ちなみに、記憶が『押忍!番長』のと混同していて、高確が23ゲーム継続した時点でボーナス確定だと思い込み、店員さんに最高のドヤ顔を見せてしまったのはここだけの話。
 この天国モードループは以後も止まらず、146ゲーム、6ゲーム、70ゲームとBIGオンリーで6連チャンを達成。ちなみに肝心要のBIG中についてほとんど触れていないのは、1G連を引けなくて特に書くことが無いから。実際は爺BIGで1打1打毎ゲーム全力で、魂込めてフルスイングしていましたさ。ええ、本当なら「ここからキーン、キーン鳴りまくりで奇跡の大逆転を達成…さっすが吉宗!」と書きたいところだけど、残念ながらそれが現実なので。いや、実際そういうデータを作っちゃおうかなとか思ったけど、そんなことパチンコビスタがする訳にいかない…というよりも、証拠画像がないことに気づいて断念したのもここだけの話です。

 で、話を実戦に戻しますと、要はここまで5回目のBIGまで1G連なし。1G連発生率は20%強なので、ここらで引けてもおかしくない、いや確率的に引けるはず! …なんて、前向きな気持ちは全く湧いてこず、鳴る気がしないどころか、これが最後のBIGになりそうなイヤーな予感しかしない。ここは爺を諦めて姫BIGを選択。だって、せっかくだから「そこにあるかも知れない…」聞きたいじゃん。聞けるかどうかわからない「キーン」より、確実に聴ける姫歌でしょ。

 …と、後ろ向きかつ不純な動機で選んだ姫BIGをノリノリになって消化したのだが、意外にもこれが最後の見せ場を生んだ。全く期待していなかったのだが、おみくじはなんと姫が2枚! 1G連非当選時に発生する可能性はわずか16%。これはさすがにもらったと、期待するも普通に青い札を選んであらゆる意味で終了。
 最後は「バイバイ、またね」に代わる吉宗流の挨拶、193ゲームヤメで実戦終了と相成りました。

 ただ、こんなグダグダな展開でも2箱カチ盛りになるのが、さすがは吉宗といったところ。コインを流してみると3760枚。投入が約4500枚なので、丁度BIG1回分のコインが足りない計算。つまり、もし1回でも1G連を引けていればほぼチャラだったのだ。でも、わずか1時間、たった500ゲーム弱の間で一撃4000枚を吐き出したのだから、吉宗の持つ破壊力の片鱗が少しだけ窺がえたのではないでしょうか。
 なお、この実戦を終えて、私が読者の皆様に伝えたいことはただ1つ





 「大した見せ場を作れなくて申し訳ありませんでした」ということ





 こんな実戦データを見せられても、代名詞とも言える1G連がなくてきっと消化不良感しか湧いていないことでしょう。「1G連なし」「一番深いテーブル」「多大な現金投資」…と、完全に吉宗の悪い面が出てしまった格好ですが…。

 でも、こんな展開もあるのが吉宗。大ハマリするのも、投資が10万近く必要になるのも、モードやゲーム数テーブルに恵まれて連チャンするのも、1G連するのもしないのも、全て良くも悪くも吉宗です。もしかすると、それはあなたの方がご存知なのでは?
 当時打ち込んだ読者の皆様はきっと、この記事を読みながら「俺なんか15万投資したことあるよ」「自己最高の2万枚出した」「あのお店でストック飛ばしを喰らった」「リミットオーバーして少し悲しかったけど、いっぱい出たからまぁいいや」「怖くなるほど連チャンした」…といったようにあなただけの伝説を自然と思い出したのではないでしょうか。

 中には吉宗のことだけではなく、すっかり忘れていた当時の記憶…共に泣き笑い過ごした仲間、恋人、生活、仕事のこと、はたまた心境などが蘇ったという人も少なくないはず。そういった奇跡を可能にするのは、打ち手の心を虜にし、一世を風靡した名機だからこそなせる業なのでしょう。もし本記事で少しでも名機に夢中になっていた頃のあなたを取り戻せたのなら、そのお手伝いを少しでもできたのなら幸いです。


 …と、無理矢理きれいにまとめてみました。時代を彩った名機はまだまだたくさんあります。次回以降も続々と取り上げていく予定ですのでお楽しみに!
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◇ 関連機種情報 ◇
     吉宗(4号機)