「裏勝負、霹・・・2人でやりましょう!」
俺が「やりましょう!」と言った時のおやっさんの顔は今でも忘れられない。
一晩考えた結果だったが、頭の中には、まだ、引っかかる事はたくさんある。
どんな奴らが、どこで、どう勝負しているのか?
単純に理解できないことが多すぎる。
俺は、おやっさんと一緒にとりあえず、その霹と言う勝負を見に行く事にしたのだが、
その前に下調べが必要だと言う話になった。
三日後の夜、おやっさんを霹に誘ったと言う「山路」という男に会う事にした。
「おう!兄貴」
彼が山路なのか?
おやっさんの事をそう呼ぶ男が現れた。
「山ちゃん、こないだの話なんだけど、もうちょっと聞かせてくれるかい?」
「なんだ、兄貴、俺と組む気になったのかい?」
山路らしき男は、俺の方を見ながら、おやっさんに話しかけた。
「兄貴、そいつは、誰だ?」
山路が俺に気づきそう言う。
「あぁ、俺の知り合いだよ。相棒になる男だ」
「どうも、お世話になります」
賺さず、挨拶をする。
「相棒だって? 俺じゃないのかい?」
ここで、揉めたくは無い。揉めれば、厄介な事になるし、俺の決心も揺らいで
いたかもしれない。
「まあいいや。座れば?」
山路のあきらめの良さは、直ぐに解った。
のちに知るのだが、山路はすでに相方を確保していたようだ。
おやっさんが痺れを切らせてきた。
「おい、教えてくれんのか?どうなんだ」
口調が荒くなる。
「教えますよ。そう、カリカリしないでくれよ、兄貴」
山路は、半分ニヤケ顔で言う。
「実は、昨日も、勝負して来たとこだよ」
グットタイミングじゃないか。俺は、聞き耳を立てる。
「で、勝ったのか?」
「ああ、まあね」
と言って、懐から分厚い財布をちらつかせる。
見たところ、片手ぐらいの札束は入っているようだ。
「すげぇ、マジであるんだ。本当に・・・・」
思わず声が出てしまった俺を、山路が見て言う。
「あんちゃんも、知りたいんかい?」
「教えてください」
俺は、咄嗟に答える。
悔しいが、ここは、低姿勢で相手を乗せて話を聞きだそうと思った。
今は、山路しか情報源がないからな。
山路は調子に乗ってくれた。話し出す。霹の勝負の内容を。
「昨日、俺は相方と2人で行ったんだ。場所は、まあ、いいだろ?言わなくても、
そんで、俺の仕入れた情報でホールに行って奴らを見つけたよ。丁度、相手がいないって
言ってさ。じゃあ、どうですか?と、誘ったんだ」
一体どんな相手なんだ?
「昨日の奴らは、若かったなぁ。30代前半かな? 一応、この勝負ができる奴らは、
そのホールの常連じゃなきゃ駄目なんだ。今、どこのホールも機械化してるだろ。
ちょっと、ホール側の協力も必要なんだよ。この賭けはさぁ」
確かにホールは人間の手は掛からない所が多い。
2000年の最初の方か?
パチンコは、箱(いわゆるドル箱だ)は無くなり、出玉は台の下に吸い取られて
計算されるカウンターが、どの店も支流、人件費の削減ってやつだ。
今は、当らずに台を叩くなんて事があれば、椅子からベルトが出てきて、捕獲されて
しまうセンサーが付いている。
飲み物は専用のロボットが運んで巡回しているし、掃除もすべて機械が行っている。
警備ロボは優れた頭脳をしているし、悪さはできない。
昔と変わらないのは、機械のトラブルの時だけだ。
そこは、人間の手が必要なのは変わらない。
だから今の時代ホールには、アルバイトは、ほぼいないのだ。
店長と若干の店員だけがいるだけ。
話が少しずれた。
「ホールの協力ってどんな?」
「機械化してるだろ?だから、霹をやる時は、一声店員に掛けないと、あとで面倒な
事になる。様は、場所代を奴らに渡しておくんだ」
「なるほど・・・」
「って言っても大した額じゃない。普通に打つ訳だから、ホールも別に損してる
訳じゃないからな。大体、相場は、1万円ってとこか?猪木1枚だよ」
猪木1枚か・・・今の1万円札の顔は、アントニオ猪木だからな。
国民に元気をくれるって事で、昔いたプロレスラーアントニオ猪木が、札の顔に
なったらしい。
平成が終わって、今は、「来世(らいせ)」10年目か。
消費税は、15%になり、日本経済は低迷したまま、しかし、カジノの存在で少しずつ
持ち直してきたか?来年は、消費税が下がりそうだと政治家が騒いでいる。
肝心の勝負はどうなる?
「まず、勝負台を決める。これは、アウェー側、客側が選ぶのが原則だ。ホーム側が
選ぶと不正だの、店と協力してるだの、後で面倒だからな。勝負台は、特にこれと
決まってない何でも良いんだ。
ルールは、7時間の出玉勝負がメインだが、当り回数を絡めた勝負方法もあるらしい。
時間は、まあ、ダラダラやってもしょうがないから、営業時間の約半分の7時間って
のが、もっぱら多いらしいけどな」
台は、ゲスト側が選べる、勝負方法は出玉の多い方の勝ち。
至ってシンプルだが、肝心な「賭け金」はどうするのか?
「掛け金はどう決めるんですか?」
「掛け金は、最低、10万ずつ用意する。そして、勝った方は、両方の出玉の分も貰える。
負ければ・・・・何も残らないって訳だ。」
なるほど、勝てば、賭け金プラス出玉の換金分も貰えると言う訳か。
「たまに、負けて逃げる奴がいるんだよ。そんな時の為に、負けた奴が逃げられない
ように、先に、ホールの協力を要請する訳だ。」
それが、場代か。
「逃げれば、警備ロボが来ると言う訳ですね」
「そう言うっこっちゃ」
ホール側も損は無い。
そして、この勝負が続けば場代と客は必ず来るという事になる。
賭け金の設定は、相手との合意の上の勝負だから、これが、20万、30万になる勝負も
あるだろう。
そうなると、勝負台につぎ込む軍資金はいくらまで可能なのか?
「勝負する軍資金は、2人なら5万までだ」
聞こうとしたその瞬間に山路が答えた。
となると、1人が早く当りを引けば、もう一人は上限まで使える。
「正し、出玉の共有はダメだぜ。これは、店によってもルールが違うから、
統一されてる」
共有ができないのは痛いが、各人の運、一人一人の個人の勝負が、トータルで
チームの勝敗になると言う事だな。
俺は、この話を聞いてワクワクしていた。
裏と言うほどでも無いが、普段以上の勝負ができるって事に。
おやっさんは、ちょっと不安げな顔をしていたが、「やめる!」とか言わなかったので
大丈夫だろうと思った。
「とにかく、1回見に来れば?」
山路が言った。
「いいのかい?」
「兄貴、あんちゃん、明後日空いてるかい?土曜だし、近くだから、1回おいでよ」
「そうだな。見て見ないことには始まんねぇからな」
「そうですね。行きますよ」
山路は言う。
「決まりだな。土曜日、13時にここに来てくれ。連れてくよ。勝負の場所に」
「わかりました」
この時、おやっさんと俺が・・・その後「霹」にハマりゆく事を知る由はなかった。
お疲れ様です。m(__)m
ちょっと、急ぎ足で書いてしまった感があります。
前回ぐらいから、「あそこはこう書けば良かった!」とか、反省(-_-;)したりで
チョコチョコ修正してますわw
俺の妹!長女がこれ読んだみたいで〜「引く!」とか言いやがって怒ってます!
確かに、素人で寒いです。ぉ見苦しいのは、わかってます。
今日、ネットで見たニュースに、こう言うところに書き込む!コメントすると
ドーパミンが凄く出る!って書いてありましたw
脳に満足が得られるんですってw(変な話、エッチ波なの!)
俺の場合も・・まさに〜自己満<`〜´>ですよ!w
俺は、自己満の為だけでも・・・書きます!w
ただ、長女は、ぶっ飛ばす!(-"-)/w