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「ジャグラーの父」北電子・川俊也氏直撃インタビュー 第2部〜ホールデビューから4号機の終焉〜
流行に流されることなくゲーム性を引き継いでいったその理由
 第1部でお伝えしたように、北電子の新機種開発プロジェクトチームが苦心の末、完成した『ジャグラー』。しかし、川氏たちの苦労はまだまだ続いたようだ。第2部となる今回は、『ジャグラー』のホールデビューの様子からお伝えしていこう。
「酷い機械」とまで言われた導入当初…
導入当初は罵詈雑言を浴びせられた初代『ジャグラー』。この時は、誰が伝説の機種になると想像したであろうか?
ビ:「いよいよ、発売となった訳ですが、ホールの評判はどうでした?」

川:「それが…ですね、半年くらいは全く売れませんでした。最初に持っていったお店でも、『何だこれ? ひでー機械だな』『ランプがスケスケじゃん』『かっこ悪い』『手抜きもいいところだな』…なんてボロクソに言われましたよ。今ではスケてないと怒るのにね」

ビ:「ええ、そりゃ怒りますよ、何たって透けてなければ光る気がしませんから(笑)」

川:「そうそう。で、その頃はすでに『ジャグラーV』を開発中だったので、その意見を取り入れてランプを透けない黄色にしたら、今度は『透けていないとダメだ』と大ブーイング(笑)」

ビ:「勝手ですね(笑)。でも、文句を言われるということは愛されている証拠なんですよね。 話は戻るんですが、その頃は営業もなさっていたということで、そんな状態だったら相当苦労されたのでは?」

川:「ええ、もう大変でしたよ。当時は売れていないメーカーでしたからね。まずはお客様に打ってもらおうと、営業が一人最低3軒、各地域の強いお店、稼働が間違いなく付くお店に使ってもらうというノルマが課せられました。もう土下座でも泣き落としでも何をしてでも置いてもらえってね」

ビ:「土下座に泣き落としですか…? でも、きちんと営業戦略があったんですね」

川:「ええ、それで、どうせこれがコケたら終わりの最後の勝負ですから、『1ヶ月使ってもらって社長が気に入らなかったら、お金はいらないから持って帰りますから』なんて条件をつけて。『その代わり、お金を取らないんだから、その分お客様に還元して使ってください』って稼働を上げるためのお願いをして」

ビ:「その作戦が成功したんですね?」

川:いえ、それでも全くダメでした。鳴かず飛ばず…」
ビ:「では、一体、何がきっかけでヒットしたんでしょうか?」

川:「やはり半年から1年かけて浸透していったというのが大きいですね」

ビ:「浸透できたのはやはり『ジャグラー』が面白かったからなんでしょうね」

川:「ええ、その頃は確かにリーチ目タイプが流行っていましたが、一方で年輩のお客さんを中心に、大量リーチ目タイプを嫌いな人もたくさんいたんですよ」

ビ:「ええ、リーチ目を知らないと、ハイエナされますからね」
ここが光れば当たり。それさえ覚えておけばリーチ目なぞ一切暗記する必要なし!
川:「そうそう、入っているかどうかわからなくて怖くてヤメられなかったりね。でも『ジャグラー』は『この台はここが光れば当たりで、ここが光っていなければいつヤメても大丈夫ですからね』ってね」

ビ:「改めて親切な機能だと感じます。そうやって徐々に稼働や評判が上がっていったんですね」

川:「ええ、機種別の稼働ランキングで最初の頃はもう一番下の翌週にはなくなる『掃いて棄てるゾーン』でしたが、それが徐々に『捨てるにはもったいないゾーン』に上がって、さらに気が付いたら『貢献ゾーン』に入って、最高で2位まで上がりました」

ビ:「普通の機械は段々と下がっていくもんですよね?」
川:「そうそう、それでホールの間では『なんだ? この北電子の『ジャグラー』って機種は?』と噂になり始めて…。それでもしばらくは、『どうせB(裏モノ)だよ』って相手にされなかったんですが、『どうも違うみたいだぞ』という風になって、ある頃から突然電話が鳴るようになって」

ビ:「問い合わせの電話ですか?」

川:「ええ、『ジャグラーまだある?』って。まだあるどころか、工場には山のように在庫が残っていましたよ(笑) それまでは、いくらホールに「お願いします」と頭を下げてもダメだったのが、向こうから電話で『下さい』ってなるんですから驚きましたよ」

ビ:「そこから一気に売れ出すんですね?」

川:「いえ、ところが、売れたら売れたで、今度は売れると思ってなかったから部品が足らなくなっちゃって

ビ:「嬉しい誤算というやつですね!」
当時の苦労を語る川氏。普通の人では滅多に体験できない過酷な状況を良い経験になったと笑顔で語る
川:「で、仕入れようにも、うちみたいな小さいところは後回しですぐ入れてくれないんですよ。その間も注文が相次ぎ、注文書が山積みでキャンセル待ちですよ。工場の人手も足りなくて、『お前も工場行って作って来い』と言われて、組み立てに行って…」

ビ:「ほ、本当に手作りなんですね?」

川:「ええ、で、組み立て終わったら台をトラックに載せて、それを車で追いかけていって、今度は自分でホールの設置作業をして(笑)

ビ:「すごい、まさにフル稼働。寝る時間はあったんですか?」

川:「『事故したら危ないから、平日の昼間に車の中で少し寝ていいよ』という感じでしたよ」
ビ:「寝て『いいよ』ですか? それは大変過酷な状況でしたね」

川:「ええ、でもね、すっごく楽しかったですよ。だって、それまでは社長から『最後の給料になるかもしれないが…』って言われながら給料袋を受け取っていたんですよ。そんなこと言われたことあります?」

ビ:「まさか! ありませんよ(笑) 自分なら間違いなく逃げ出してます。川さんは辞めようとは思わなかったんですか?」

川:「ええ、それまでは同僚と『潰れたらどうなるのかな? もしかしたら現物支給で事務机とかロッカーとか電話とかをもらうのかな?』という話をしていてね…。『めったにできない貴重な体験だから最後まで残って会社の最期を見てみよう』というような話をしていましたからね」
板橋にある自社ビル。バブル期にこのビルを建てていなかったら、ここまでのドラマは生まれなかった!?
ビ:「ネタ作りですか!? 芸人でもなければ、普通はそういう結論にはならないですよ(笑) でも、本当に良かったですね、それでいっきに儲かった訳ですから」

川:「いえいえ、借金を返してお終いですよ。実は自社ビル購入の影響で、『ゴーゴージャグラーSP』の頃までは本当に厳しかったんですよ。会社が89.7度倒れている状況で、それが少しずつ立ち直っていっただけです」

ビ:「ということは臨時ボーナスとかは?」

川:「一切ありません! でもね、銭勘定どうこうよりも、売れている忙しい会社とはこうなんだという貴重な体験をさせていただいたことが大きかったんですよ」

ビ:「なるほど。なかなかできる体験ではありませんね」
自社ビルの入り口にいる推定体長1メートルの巨大なツノっち。シーサー的役割を担う!?
川:「で、パチスロというのは3年間売っていい訳ですが、ギリギリの日まで女の子のバイトに電動ドリルの使い方を教えて野麦峠状態でジャグラー作っていました。それでも、注文をもらって納品した数より、断った数のほうが全然多かったんですよ」

ビ:「その後はジャグラーシリーズとして、独自の地位を築いていく訳ですが…」

川:「他メーカーもホールさんも、みんな一発屋でこんな人気シリーズになるなんて思っていなかったんじゃないですかね。実際、社員もそう思っていましたし(笑)」
『ジャグラーV』。「GOGO!ランプ」はシリーズ中唯一ランプが透けない仕様
爆裂期時代に登場した『ゴーゴージャグラーSP』。初代『ジャグラー』のゲーム性を色濃く継承している
ビ:「そのジャグラーシリーズについて絶対に聞いてみたかったのが、『ゲーム性を変えようとは思わなかったか?』ということなんです。だって、たとえば『ジャグラーV』が出た頃は、パチスロが一気に進化した頃で、世間は『大量獲得』やら『7ライン機』やら『CT機』『4thリール』って頃ですよ。さらに、『ゴーゴージャグラーSP』『ハイパージャグラーV』の頃は、ゲーム性では『AT』や『RT』、演出面でも『ドット』や『液晶』が標準になっていた頃ですよ」

川:「ええ、思いませんでした。『基本だけは崩すなよ』というのが社長の命令でしたしね」

ビ:「だってストック機能を使えば、本当に『ジャグ連』が作れたのに…ダメですか? 絶対に売れたと思うんですが…」

川:「ダメです」

ビ:「企画案すらなかったんですか?」

川:「確かに若い子たちからはそういう声があったけど、全部私がOK出さなかったんです。『そんなのジャグラーじゃない!』と」
ビ:「なるほど」

川:「その『基本を崩すな』というのをよく思い知らされたのが『ハイパージャグラーV』です」

ビ:「ジャグラーシリーズでは珍しく予告音やフラッシュといった通常時のチャンス告知を搭載した機種ですね」

川:「この機種は珍しく若年層に好まれた機種なんです。その代わり…ジャグラーの支持層である年輩者からは総スカンを喰らいました。それまでのジャグラーというのは、一旦離れて数ヶ月後に戻ってくるパターンですけど、『ハイパージャグラーV』は離れたまま2度と戻って来ませんでした。それで、『ああ、ここまでやっちゃいけないんだな』って思い知らされました」

ビ:「なるほど。良い教訓になっている訳ですね」

川:ジャグラーはね、私の中で『ご飯と味噌汁』なんです」

ビ:「…と、言いますと?」

川:「毎日食べても飽きの来ない…。でも、若い人はそれだけじゃ物足りなくておかずが欲しくなっちゃう。あれも、これも…と幕の内弁当にしたがる。確かにおいしいかもしれないけど、毎日、幕の内弁当じゃ飽きるでしょ?」

ビ:「はい…飽きます」
ジャグラーファンには不評だった『ハイパージャグラーV』。この機種があるからこそ、ジャグラーが自らの役割を見失わずに済んだとも言える
衝撃の告知音を搭載した『ジャグラーガール』。あの音の源はなんと「1斗缶」
川:「それに幕の内弁当だと嫌いな食材もあるでしょ? お父さんたちには『揚げ物ダメ』とか色々ある訳ですよ。だから、我々は美味しいお米とお味噌汁を用意することを目指せばいいんです」

ビ:「なるほど。わかりやすいたとえです。それが、余計なものを付けずに、リールや絵柄を大きくしたり、MAX BETボタンをつけたり、ランプをLEDに変更したりということなんですね」

川:「そういうことです! 一昔前のジャグラーのシマはシルバーシートになっていたでしょ? でも、それでよかったんです。ただ、その中で色々とイタズラをしているんですよ。たとえば、『ジャグラーガール』では告知音を付けました」

ビ:「『ガコッ!』ですね? あの音はびっくりしましたよ」

川:「余所見して打っている人が驚いてコーヒーをこぼしちゃうくらいのインパクトがある音にしようと、かわいい音より、驚く音にしたんです」

ビ:「あれは何の音なんでしょうか? サイのツノがぶつかる音だなんて説もありますが…」

川:「ここも、私がわがままを言わせていただきました。TVを見ていたら、ちょうど『ドリフ』がやっていて、1斗缶で人を叩く音を聞いて『この音だ!』と思ったんです。それで、あの音を再現できないかと相談したんです」
ビ:「い、1斗缶ですか?」

川:「音を作る人もそんな反応でした(笑)」

ビ:「ちなみにその後に発売された『ゴーゴージャグラーV』では、ランプがLEDから豆電球に戻っているのは何故ですか? 『LEDだとペカる気がしない』というファンの声に応えてとか?」

川:「実は、戻した訳ではないんですよ。というのも、元々『ゴーゴージャグラーV』はお蔵入りさせる予定で売るつもりはなかった機種ですから(笑)」

ビ:「えええっ!?」

川:「『ジャグラーガール』から、新しい筐体になるんですが、そのために部品をテストしておきたくて、試験用として先に保通協を通したんです。『ロゴかっこいいからお蔵入りさせるのもったいないねー』とは話していましたが」

ビ:「結構な台数が出ましたよね。がんばって作った機種がなかなか売れなくて、売るつもりのなかった機種がヒットするんですから何が起こるかわかりませんね。面白いです(笑)」
本来は日の目を見ることなく消えていく予定だった『ゴーゴージャグラーV』。急遽販売されるやヒット機種となった
ジャグ連の真実に迫る!
ビ:「ちなみに、ファンの間でもまことしやかに囁かれているもう1つのゲーム性、『ジャグ連』『北連』というのは、本当のところ、どうなんですか?

川:「スランプグラフが良い波を描くように確率面を考えていますが、特別なことは何もしていません

ビ:「本当ですか? よく抽選方法が違うという噂を聞くんですが…」

川:『北電子独自の乱数生成方式が〜』ってやつですね? そんなのメーカーとしては一言も言っていませんよ。あれは雑誌さんが勝手に言い出したのが広がっただけで、そんなのはありません。『そんなのないんですけど』と編集部に電話したら、『単なるキャッチコピーだから気にしないで下さい』だって(笑)」
「GOGO!ランプ」点灯前に揃ってしまう生入り。本来はメダルのロスが無い状況ながら、何故か損した気分になってしまう…
ビ:「ずっと信じてたのに(苦笑) と言うことは、ペカらせる前にそのまま揃っちゃう『生入り』をさせると連チャンしないというようなことも…?」

川:「当然ありませんよ。でも、『ジャグラー』って不思議な機種だと思いません? だって、みんな生入りして、ランプが光らないと悔しがるんですから」

ビ:「ほんと、よく考えると、不思議ですね。だって、生入りってことはメダルをロスしなかったということなんですよね…」

川:「でしょ? ペカらせるのを堪能するか、そのまま揃えるか、究極のゲーム性ですよ」
ビ:「それで連チャンするしないうんぬんは別として、ぺカるのが見たくて打ってますからね。打ち手としては、せっかくボーナスを引いたんなら、やっぱりランプが点灯してほしいですよ」

川:「ですよね。『ジャンキージャグラー』で、生入りの2分の1で点灯するようにしたのは、そういう声に応えた親心なんですよ」

ビ:「2分の1というのがちょっと意地悪ですけどね(笑)」


 かくして1つのブランドを築いた『ジャグラー』。しかし、その後、業界を激震させるあの革命が起こる。そう、内規改正による5号機時代の幕開けだ。全てのメーカーが大混乱に陥る中、北電子がいかにしてあの大ヒット機種を生み出したか…その模様は第3部〜5号機時代のジャグラー〜にてお伝えしよう。
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