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マニア台一期一会 第2回 『CRドラゴンゲートZF』(高尾)
眩く甘美なマニア台の世界へようこそ
 新台入替の回数が年を追う毎に上がり続けているパチンコ・パチスロ市場。各メーカーから発表される新作の数は年間200タイトルを超え、その多くが半年 も経たずに主力機種から外れていく。しかし、最近は1パチ・5スロやバラエティコーナーの浸透も手伝ってか、そうしたマイナー機種を打てる機会も増えた。 そこでお届けする本稿は、題して「マニア台一期一会」。「良台」や「ダメ台」といったカテゴリを超越した「マニア台」に、一度きりの実戦を挑み、そこから 何かを得たり得なかったりしようというコーナーである。
主役は「赤龍」だが、注目は「青龍」だ
 
 本題に入る前に、今回この企画が第2回目のピックアップ機種として『CRドラゴンゲートZF』をチョイスした経緯について簡単に触れておこう。前回がパチンコ『CRアン・ルイスと魔法の王国』であった為、今回はパチスロ機の中から選ぶ予定でアレコレと吟味していたのだが、そんなある日、私は知人編集者からこんなことを言われたのだ。

 「ドラゲを打たずに2009年上半期のマニア台シーンを語るな」

 「ドラゲ」というのは今回取り上げる『CRドラゴンゲート』シリーズのことらしく、知人によると今年6月までにリリースされたマシンの中でもかなりの異彩を放っており、このままだと「2009年のマニア台シーンはドラゲの一人勝ち」状態なのだという。さらに知人はこう続けた。

 「ドラゲを打つならフルゲだな。甘ゲじゃあの魅力は完全に伝わらない」

 どうやら「フルゲ」というのはMAXタイプの『〜ZF』、「甘ゲ」は甘デジの『〜STV』を指しているらしく、真のマニア台プレイヤーの間では「フルゲ」「甘ゲ」などという言葉が平然とまかり通っているのが現状らしいのだ。
 
 そんな訳で、何の予備知識もなかった私は、実戦に臨む前に予習をすべく、編集部の書棚から『CRドラゴンゲート』のカタログを取り出したのだが、その表紙を見て驚かされた。実際に御覧頂くしか方法がないと思われるので右上に掲載するが、およそプロレス団体とのタイアップ機とは思えない、非常に斬新なというか何というか、香ばしいキャラクターデザインが採用されていたのである。3DCGで描かれた登場人物たちは、聖闘士○矢を思わせる鎧を身につけ、剣を手にしているのだ。
▲「青龍」とモデルのCIMA選手
 
 添付されていた資料によると、左上の主人公と思わしき男は名前を「赤龍」といい、B×Bハルク選手をモデルにしているらしいが、それよりも何よりも気になるのは右下の青い鎧を着けた男だ。「青龍」というキャラクターらしいのだが、何というか、その、顔面のデザインが少々雑ではないかと感じるのは自分だけだろうか。

 モデルの顔が見てみたい…と思って資料に目をやると、CIMA選手がモデルとある。CIMA選手といえば、「闘龍門JAPAN」時代から同団体を支え続ける中心選手。その写真と「青龍」を比較したものが左の写真なのだが…読者の皆さんはどう感じるだろうか。私がCIMA選手なら…。
いつ大当たりしたかすら分からない「超進化系」パチンコ
 
 さて、そろそろ『CRドラゴンゲートZF』の具体的な中身に触れていこう。まず注目したいのは下のスペック表と円グラフである。本機はいわゆるMAXバトルタイプなのだが、その仕様には一癖も二癖もある。その中でも押さえておきたいポイントとしては、小当たりが存在しないことだろう。つまり、通常時にアタッカーがパカパカと動き出した時点で、実質1ラウンド以上の大当たりが確定するのである(ただし、アタッカー開放は特殊なものとなっているので後述したい)。
 
▲大当たりの割合(ヘソ入賞時)
 
▲大当たりの割合(電チュー入賞時)
 
 実質1ラウンドの通常大当たり終了後に100回の時短が付く「突時」の存在にも注目だ。最近の機種は突時を有していないものが多く、私個人で言えば、最後に打った突時搭載機種は『CRぱちんこ仮○ライダー 〜シ○ッカー全滅大○戦〜』だったと記憶しているが、突時のない機種ばかりが続いているせいか、最近は通常時の電チューサポート=次回まで確変、というイメージが蔓延しており、それだけに本機で突時を引いた場合のダメージは大きい。何しろ、次回までの確変だと思っていたのになかなか当たらず、しかも100回転で電チューサポートが終わるのだ。
 
 次に、このスペックが示すもう1つの大きなポイントとして、初当たり潜伏率の高さが挙げられる。実際、本機のカタログには「見抜くことが出来るか? 業界最高峰の潜伏機能」と何かの冗談のようなコピーが入っており、思わず「出来るかじゃないだろう」と突っ込みたくなるが、「進化系」ほどではないにせよ、本機は既存パチンコ機の中でも初当たり潜伏率が高めに設定されている。その代わり、電サポ中は振り分けのほとんどが実質14ラウンド出玉ありになるのだが、初当たり時は種アリとガセが14:16という絶妙な割合になっているため、実質1ラウンドを引いた場合はヤメるにヤメられないのだ。
▲カタログより。上のコピーもいかがなものかと思う
▲アタッカーは「DRAGON GATE」プレートが隠しており、覗き込まないと開閉が分からない
 
 そして、本機のゲーム性を更に混乱させるのが、盤面下部に搭載されたアタッカーの動きだ。大当たりは実質1ラウンドの「ブルーボーナス」から実質7ラウンドの「レッドボーナス」へ、更に実質14ラウンドの「ドラゴンボーナス」へ、というランクアップ形式で展開されるのだが、ブルーボーナスの始まるタイミングが明らかにおかしいのだ。一言で説明しよう。

 気がついたら、もうアタッカーのパカパカが始まっている。

 そう、本機の大当たりは「よく見ていないと、いつ始まったのかすら分からない」「消化中も今が何ラウンド目であと何ラウンド残っているのか分からない」というとんでもない特性を持つのだ。実際は注意深く画面を見ていれば右下に「ブルーボーナス」と表示されるので気がつくことができるのだが、その表示タイミング、そしてアタッカー開放の始まるタイミングが凄い。一例を挙げよう。
 
 「確変中、主人公の赤龍と宿敵の黒龍が戦っていると思ったら、もうパカパカしてた」

 主人公が勝つなり、技を喰らった後に復活するなりし、ファンファーレ的なものが流れるなど「じゃあ、アタッカー開けますからね」的な合図があった後に、はじめてアタッカーが開く。それがセオリーであり常識だが、本機にそんな常識は通用しない。まだ戦いの決着が付いていないのに、液晶右下には「ブルーボーナス」と表示され、アタッカーは高速開閉を始めるのである。
▲確変「ドラゴンバトル」で敵に挑む主人公・赤龍。この時点で既にアタッカーは開いている
▲そしてこちらが宿敵・黒龍。勿論この画面の時点で既にアタッカーはガンガン開閉している
 
 また、アタッカーの動きを視認しにくくしている原因として、アタッカー前部のプレートがある。黒背景に白文字で「DRAGON GATE」と書かれたプレートがアタッカーを隠すように配置されているため、プレイヤーは角度をつけて覗き込まないと開放に気づくことができないのだ。

 この仕様がブルーボーナスの始まるタイミングの不可解さと合わさると、大当たりに気づかないまま両手を膝において画面を眺めているような事態になりかねないのだった。

 以上をまとめるが、本機のスペックは潜伏を分かりにくくした「進化系」的エッセンスを採用しつつも、突時が存在したり、気がついたらパカパカしていたりといった「高尾イズム」が随所に盛り込まれ、独自の更なる進化に成功している。

 個人的に、これはもう「超進化系」パチンコとしてカテゴライズしてもいいのではと思うが、どうだろうか。高尾が飛ばしすぎているのではない。時代が高尾に追いついていないのである。
先制しても油断は禁物! 常識を覆す演出群を見よ!
 
 続いて本機の液晶演出に迫っていきたいのだが、まず前提として、本機のそれが『北○の拳』の演出に対するパロディというか、オマージュというか、インスパイアというか、いわゆるそういう成分でできていることを説明しておかねばなるまい。しかも、元ネタとなっているのは『〜ケン○ロウ』『〜ラ○ウ』『〜ユ○ア』と3タイプが出たアレではなく、古い方のアレ、つまり『〜伝○』『〜強○』の方である。

 本機のセルには御丁寧なことに北斗七星が描かれており、「3DCGが全体的にカクカクしていて一昔前っぽい」という点にも高尾の強いリスペクト精神を感じるが、真の見所と言えるのはやはり液晶演出であろう。
▲盤面左上には謎の北斗七星が
▲矢が刺さるシーンはもはやコント
▲妖精が缶に変身。初見時は思わず「なんで?」と声に出してしまった
 
 多数ある予告アクションの中でも特に高いリスペクト精神を感じさせるのが「老人通過予告」で、主人公の眼前で通りすがりの老人に矢が刺さるシーンは「さすが高尾、容赦ないな」と感じざるを得ないが、個人的にここで取り上げたいのは「妖精予告」だ。

 これは主人公・赤龍に同行している妖精が様々なアクションを起こすというもので、大抵の場合は白煙と共に「何か」に変身するのだが、その「何か」の具体的な中身が面白い。「バナナ」「メロン」「リンゴ」といったフルーツの類のみならず、「缶」に変身する場合もあるからだ。

 このチョイスにも、やはり『北○』に対する大きなリスペクト精神を感じさせるが、リスペクト云々以前の問題として存在する「妖精が缶に変身するというアクションは、そもそもどうなのか」という点についても人は立ち止まって考えるべきだろう。長くなるので、ここでは割愛するが。
 
 他にも予告面の見所は多数あり、妖精が画面を横切る「空見上げステップアップ予告」では何匹からを「群」と見なすべきか迷わされるし、あまりに地味すぎて初見時はまず誰も気づかない「台枠先読み予告」も押さえておきたいポイントだが、ここで特筆すべきは「本機にはメッセージ系の予告が一切存在しない」ということだ。つまり、いわゆる「惚れ申したー!」や、「ファイトしようぜ」といった類のアレが全く無いのである。このため、プレイヤーは液晶で描かれている世界に入り込むことができず、ストーリー系リーチ「光と影」で描かれる「緑龍」と「闇緑龍」のバトルでは、「多分、闇って付く方が悪者なんだろうな」とは思いつつも確信を持てないまま勝負の行方を見守るしかないのだった。
▲5匹は群と見なされず、ほぼ空気
▲枠が光る先読み。気づきません
▲こちらが高尾の激アツキャラ「キレパンダ」。個人的にはとてもいいと思う
 
 信頼度の面で注目すべきは、やはり「キレパンダ」の存在だろう。 こんなページを読んでいる読者には不要な説明かもしれないが、高尾は激アツの代名詞的存在として「キレパンダ」というオリジナルキャラクターを採用している。各社が「ゼブラ柄」だの「桜柄」だのといった「柄」で迫る中、果敢に「キレパンダ」で挑む「高尾イズム」にはもはや敬服する他なく、私も高尾を愛するマニア台プレイヤーの1人として、パソコンの壁紙は「キレパンダ壁紙カレンダー」を愛用中だ。

 本機においても「キレパンダ」は大当たりを占う上での最重要キャラクターとして位置づけられているのだが、大当たりに絡む割合があまりに高い故、通常時は基本的に「キレパンダ待ち」になりがちである。しかし、私を含むマニア台プレイヤーにとってはそのバランスが心地良いのだ。
 
 リーチにも触れておこう。最大の見所は「中ボスリーチ」で、「アンソニー」「ドン」「マーキ」そして「青龍」のいずれかと戦って勝てば大当たりというものなのだが、実はこの演出、最初に発生する鍔迫り合いで勝利し、主人公の赤龍が先制攻撃を行なっても、勝利確定とはならないという特性を持つ。

 敵がこちらの攻撃に耐え、反撃を繰り出して負けるという壮絶なパターンが存在するのだ。
▲鍔迫り合いの末、赤龍が先制!
▲奥義炸裂。普通勝ったと思うでしょ
▲この画面が表示された後は恐るべきスピードで次変動に。フェードなんとかとかそういう概念は無い。
  
 パチスロの『北○』がヒットし、『ウル○ラセ○ン』がそれを受け継ぐ形でパチンコシーンに広めた「バトル」の歴史。いや、歴史と呼ぶには短すぎるものかもしれないが、そこには脈々と受け継がれる「ルール」が存在した。

 「最初の分岐で主人公の先制攻撃が選択されたら、勝利確定」

 『牙○』といった毛色の異なる機種でも守られていたこの決め事を「ルール」と呼ぶのは大袈裟すぎるかもしれないが、高尾にとってはそんなものお構いなしだ。「そんなルール、誰が決めたの?」と我々をあざ笑うかのように敵は耐え、反撃を繰り出してくるのである。

 そして、このリーチにはもう1つポイントがある。それは「負けてから次変動に移行するまでの時間がやたら短い」ということだ。プレイヤーに復活を祈らせる隙を1秒も与えず無慈悲に次変動が始まる衝撃のクイック攻撃。これもまた、我々マニア台プレイヤーをうならせる魅惑の「高尾イズム」なのである。
全ツッパの末に辿り着いた「高尾の狙い通り」説
 
 本機種に全ツッパを挑んで辿り着いた結論を、最後に記しておこう。

 高尾は全部、わざとやってる。

 これは仮定ではなく、確信だ。本機種は「いつの間にかこうなってしまった機種」ではなく、「こうなるべくしてなった機種」なのである。そうでなければ、こういう出来の機械にはならないハズだ。

 世間には「高尾はまともな機種を作れない」という誤解があるが、名機『CRフィンガー5』の仕上がりからも分かるように、それは大きな誤りである。「作れない」のではなく「作らない」のだ。それはきっと、「まともに作ったんじゃ面白くないじゃん」というマニア台プレイヤーたちの想いを、誰よりも分かっているメーカーが高尾だからだろう。

 今回私が実戦に挑んだ「フルゲ」こと『〜ZF』は少しずつ姿を消している現状だが、「甘ゲ」こと『〜STV』は全国のホールで現役稼働中。まだ打っていないというマニア台プレイヤーたちは、是非驚異の「高尾イズム」を体験し、心を揺らしてみて欲しい。
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